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かつて沖縄・琉球には錫(スズ)工芸の文化がありました。
15世紀半ば頃から使われていた金属『錫(すず)』は高級な祭祀道具を中心として、泡盛の蒸留器や首里城の屋根にも用いられるほど大変重宝された工芸でした。
しかしやがてその文化や技術も途絶えてしまった後、本格的な調査がはじまったのは2000年代に入ってからでした。時すでに遅し。今や琉球・沖縄の錫文化の存在や価値は忘れ去られた時代になっており、当時祈りを捧げ大切に扱われていた祭祀道具の傷みはかなり進行してしまっていました。
伝統工芸の担い手として、沖縄にルーツを持つ身として、そのような状況を見過ごせず2015年、工房の立ち上げに至りました。工房名『金細工(カンゼーク)』は沖縄の言葉で金属工芸を指し、『まつ』は沖縄への帰郷を望んでいた祖父の名からもらい名づけました。また、数々の琉歌に詠まれる琉球松のような工房にしたいという願いも込めています。工房では琉球金工品の復元製作や調査、研究のほか、ここでしか作れない新しい商品も提案しています。